よそ行きの日記

日記です。オチなし。意味なし。待てど海路の日和なし。

サラリーマンの矜持

会社帰りに多少酒を飲んだとしても電車で帰宅するのが、サラリーマンの矜持というものである。

定時出社は、サラリーマンが背負っている責任のうちでもっとも重いものだが、電車で帰れなくなるまで深酒をしては翌日の出社に支障をきたしかねない。組織の冗長性を担う立場として、いつもただその場所にいるということこそが我々に求められているのであり、即ち、仕事があろうがなかろうが、朝早くに出社してひたすら夜遅くまで居残ることだけが、我々の価値を担保するのである。

また、優に一万円を超えるタクシー代は、サラリーマンの財布には手痛い出費となる。いや、むしろ金銭の問題ではない。体が浮き上がるほどに人間を隙間なく詰め込んだ、まったく人権を無視した満員電車という過酷な移動手段こそが、我々サラリーマンのサラリーマン精神を研ぎ澄ませるのであって、タクシーなどというブルジョアにかぶれた乗り物に乗っていては、ともすれば自尊心のようなものを抱きかねない。我々は、水の入った皮の袋である。それを忘れてはならない。

酔っぱらって車内爆睡し、旧田園都市線の奥地まで運ばれたうえに戻る電車もなくなって却って高くついたとしても、それは我々のサラリーマン精神にとって、確かな礎となるのである。電車内で寝ゲロしてスーツをダメにしても嘆いてはならない。スーツのシミは、サラリーマンの勲章なのだから。車内に汚物と不快感を残し、具合が悪いふりをしながらさっさと電車を降りればいい。


ところで、昨日はどうやって帰ったのか、ちょっと記憶がない。

まあ、そういうことである。

ゴミ箱にからあげクンの空き袋があったので、電車で帰ってきて駅から家までの間にローソンに寄ったんじゃないかと思う。

二日酔いはない。今のところ。