私と健康診断と医者という生き物
今日は健康診断だった。
どうも注射が苦手で、毎年健康診断の時期がやってくると気が重いのだが、今年はそうでもなかった。
理由は他でもない。痩せたからだ。
前回の健康診断、つまり去年の今頃だ。そのときは、今より5kg近く重かった。BMI的にはやや肥満。血圧、高め。それでも一昨年よりは大分マシになっていたので、医者の小言も最低限ですんだが、もう少し痩せてもいいですねくらいのことは言われた。いやうるせえなと。いまやってるよと。
で、今年である。正気に言えば、私は、誉められることを期待していた。少し。いや、だいぶ。
なにせ、茅場町の健康診断施設である。どうせ絵に描いたようなオッサンしかいない。前の年より痩せてくるやつなんて精々糖尿病をやった単なる病人くらいのもので、きちんと体質改善してくるやつなんて、まずいまい。そうした中にあっては、(こんな町で働いてるのに)よく頑張りましたねくらいの労いがあっても全然おかしくない。そんなふうに漠然と感じていた。
しかし、現実はそう甘くはなかった。
諸々の検査を済ませ、問診の席についた私に向かって医者は言った。
「痩せましたか?」
体重の数字見りゃわかるだろう、なにいってんだこいつ。「はい」
「これはなにかをして、自ら進んで痩せたということですか?」
おいおい、まさか糖尿病を疑われてるってわけか?頼むぜ、おいおい。あのね、ジム通ったりして頑張ってるんですよ。これでも一応。「ええ。まあ」
「そうですか。あんまり無理はなさらないようにしてください。」
「それからリバウンドにも注意してください。」
全然誉められるとかじゃなかった。
痩せたら痩せたで注意されるんだっていう。お前らじゃん痩せろって言ったの、みたいな。
結局、医者というのは常に何かしらのリスクをあげつらって、最終的には小言をいう生き物なのだなとしみじみ思ったのであった。