明日から夏休みをいただきます
怒らないで聞いてほしい。
私は明日から夏休みに入る。
私は、明日から、夏休みに入る。
その通り。7連休だ。
お盆が明け、諸君らにとっての夏は既に終わりかけていることと思うが、私の夏は明日始まるということである。
思えば長い道のりだった。
随分前から、なんだか暑いなとは思っていた。先週、通勤電車が空き、過疎化した兜町にチラホラと観光客が見え始めると、私の心もうっかり夏を感じ始めていたが、重たい体に鞭を打って暑苦しいジャケットを羽織っては、出社を続けてきた。しかしようやく明日、夏がやってくる。
現実社会のことは捨て置き、遠く南の島へ逃避する予定だ。青い空。白い砂浜。一面エメラルドグリーンの海と広がるサンゴ礁。たわむれの熱帯魚。
しかしそんなことはどうでもいいのである。
明日から休み。その開放感だけが、私の精神を自由にするのだ。それこそが夏休みの本質であり、どこそこに旅行に行くなどというのは、私が自由であることを表すためのひとつの形式的な手段に過ぎない。
実際の休みなど、7連休とはいえ一度始まったが最後、すぐに終わってしまうものだ。私の自由は、いままさにピークを迎えているのであり、それが期待であるうちに限り、その自由は無限に近い存在となるのである。
明日から7日間。どうだ。何でもできる気がするではないか。
コンビニのアイス用冷凍庫に侵入してやろうか?
全裸で入って、よりコールドスリープ感を出してやろうか?
それともお前んちの冷凍庫に入ってその中でクソをしてやろうか!
飛翔する精神を遮るものは何もないのである。